事業の内容
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/ 原文長 約25512文字
3 【事業の内容】 当社は、どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会の実現に貢献するため、メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とする低分子医薬品(以下「mRNA標的低分子医薬品」という)の創出に取り組んでいます。mRNAを標的とする低分子創薬(以下「mRNA標的低分子創薬」という)は、従来のタンパク質を標的とする創薬技術では狙えなかった様々な疾患にも対応可能な新しい創薬アプローチであり、アンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療薬や治療法がなく未だ満たされない医療ニーズ)の充足につながることが期待されます。当社は、mRNA標的低分子創薬でより多くの医薬品を患者さまにお届けするため、自社でパイプラインを保有する「パイプライン型」のビジネスではなく、当社独自の創薬プラットフォームibVIS Ⓡ (以下「ibVIS Ⓡ プラットフォーム」という)を活用し、複数の製薬会社と共同で創薬研究を実施する「プラットフォーム型」のビジネスを展開しています。 なお、当社のセグメントは創薬プラットフォーム事業のみの単一セグメントであります。 (1) 事業の背景 現在の医薬品市場は、主に疾患の原因となるタンパク質(以下「疾患関連タンパク質」という)に直接結合し、その機能を制御することで異常な働きを止める医薬品(低分子医薬品、抗体医薬品 ※6 など)が主流です(図1)。しかし、これらの医薬品が創薬標的として狙うことのできる疾患関連タンパク質の数はもともと限られているため、長年にわたる医薬品の研究開発 ※7 の結果、新薬開発が求められている医療ニーズの高い疾患に対して新たに医薬品を創出することが難しくなっています。このように、創薬標的となる疾患関連タンパク質が限られてきている現状、すなわち「創薬標的の枯渇」が、製薬業界共通の課題となっています。 mRNAは、DNA ※8 から特定のタンパク質に関する遺伝情報を書き写した設計図です。疾患関連タンパク質の設計図であるmRNAを制御することができれば、疾患関連タンパク質の機能を医薬品で直接制御する場合と同様に、その疾患を治療することが可能になり、「創薬標的の枯渇」の解決につながることが期待されます(図1)。 mRNAを標的とする医薬品は、核酸医薬品によって実現されています。核酸医薬品は研究開発期間を短くできる可能性があり、患者数が少ない希少疾患の治療に適しています。しかし、経口投与が難しく、製造コストが高いため、多くの患者さまに広く治療を提供するには適していないと考えられます。…
経営方針・経営戦略・対処すべき課題
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/ 原文長 約4796文字
(2) 経営戦略 当社は今後の中長期的な目標として、2030年を目途に「スペシャリティファーマとしての地歩を確立すること」を目指します(図21)。 図21. プラットフォーム型ビジネスからスペシャリティファーマに至るまでの成長曲線のイメージ図 (注) あくまで当社が目標とする成長のイメージであり、実際の時価総額の推移を示唆するものではありません。 スペシャリティファーマを目指す道のりの第一段階として、当社はこれまで、創薬プラットフォームibVIS Ⓡ を活用したプラットフォーム型ビジネスに注力し、収益基盤を固めました。複数の国内製薬会社とmRNA標的低分子創薬の共同創薬研究を実施し、その過程で得られた知見と実績が、プラットフォーム技術の向上と競合他社との差別化、ひいては収益の確保につながりました。 スペシャリティファーマへの道のりの第二段階として、mRNA標的低分子医薬品のプラットフォーム型ビジネスを拡大させつつ、2025年より核酸医薬品を中心として自社独自のパイプラインも創出するパイプライン型ビジネスを本格化させ、収益源を複数有する「ハイブリッド型ビジネス」に移行していきます。当社はできるだけ早い時期に自社パイプラインを創出できるよう、その準備作業を2024年より開始しています。プラットフォーム型ビジネスにより、製薬会社との共同創薬研究からの収益を確保するとともに、自社独自のパイプラインを保有することにより、その現在価値が織り込まれるように開示を進め、株主価値の向上を目指します(図22)。 図22. ハイブリッド型ビジネスによる成長コンセプト スペシャリティファーマへの道のりの最終段階として、プラットフォーム事業及びパイプライン創出とあわせて、製薬会社として必要な組織、機能、人材等を確保し、持続的な成長が期待できるスペシャリティファーマとしての態勢を整えます。 スペシャリティファーマは、日本だけでなくアメリカにおいても非常によく見られる事業形態で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場しているヘルスケア関連企業の中で、上場後10年以上にわたり成長を維持している中堅企業の大半が、この事業形態を採っています。 これらスペシャリティファーマを目指すプロセスを通じて、当社が中長期的に安定的かつ持続的な成長を実現することにより、株主価値を高めていきます。合わせて、当社の技術で創出された医薬品を社会に責任をもって届ける態勢を確保することにより、当社が掲げる理念の実現につながるものと考えております。 2030年度にスペシャリティファーマへとしての地歩を確立するため、当社は2025年度から2027年度にかけての中期経営計画期間中、当社の株主価値に寄与する以下の施策を実施し(図23)、ハイブリッド型ビジネスのバイオテク企業として収益基盤の確立を図ります。 図23.…
対処すべき課題
抽出本文
/ 原文長 約1151文字
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。 ● プラットフォーム事業の拡大と収益の獲得 当社のmRNA標的低分子創薬事業(プラットフォーム事業)は、共同創薬研究契約の相手方である製薬会社が抱えるニーズや課題を的確に把握し、適切に対応を進め、創薬研究を着実に前進させることにより、研究支援金や研究成果に応じたマイルストーン収入等の収益を獲得します。また新たな共同創薬研究契約の締結のため、欧州での事業開発活動に注力するなど戦略的かつ計画的に取り組みます。当社はこれまでに引き続き、現在進行中の共同創薬研究をそれぞれ進捗させること、また新規契約を着実に締結してゆくことを通じて、持続的・安定的な事業の拡大と収益の獲得を目指します。 ● 自社パイプラインの創出 当社は、これまでのプラットフォーム事業にとどまらず、自社パイプライン事業を開始します。具体的には、当社単独で創出が可能な核酸医薬品に加えて、低分子医薬品も候補とします。その際、創出する医薬品の将来価値総額の大きさ、製品として市場に出るまでの期間の短縮、直近のコストの低減に特に留意します。これにより、当社の株主価値の持続的な拡大につなげてまいります。 ● 技術競争力の強化と独占性の確保 当社は、これまでに実施した製薬会社との共同創薬研究や、自社独自の研究を通じて蓄積した経験と知見を、当社のプラットフォーム技術に反映させるとともに、大学等との共同研究を通じて新たな技術を積極的に吸収し、技術競争力の強化を図ります。引き続き、専門分野の弁理士等と連携しながら、積極的な特許出願・国際展開、当社独自のソフトウェアとデータベースの構築及び秘匿化などにより、当社の技術について独占性の確保・維持と将来の事業展開への素地を作ります。 ● 株主価値の向上を目指す経営の実践 当社は、株主価値を高めることにより株主に報いる経営に取り組みます。具体的には、将来の株主価値を高める事業に経営資源を振り向け、事業を計画的に実行してまいります。また健全性と透明性の高い経営を実践しつつ、適時的確で積極的な情報開示や株主との対話等を通じて、適正な株主価値の構築とその向上に努めます。 ● 優秀な人材の確保・育成 当社の事業を持続的かつ安定的に発展させるために、RNA研究に関する高い専門性や豊富な創薬研究経験を有する人材、事業の拡大に資する人材の確保を進めます。当社は、従業員が働きやすく、業務を通じて成長できる環境を整備することにより、当社への帰属意識や従業員満足度を高めます。こうしたサステナビリティ経営を通じて、当社の事業基盤を盤石にいたします。
経営成績・財政状態の概況
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/ 原文長 約2900文字
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況 当事業年度(2024年1月1日~2024年12月31日)におけるわが国の経済は“コロナ明け”後の経済活動が本格化するなか、名目賃金の伸びが続き実質賃金がプラスに転じたことを裏付けに、個人消費に持ち直しの兆しが現れるなど、景況感にやや明るさが見られました。その一方では、エネルギー価格の高止まりや円安基調の長期化などの懸念材料も依然として払拭されておらず、今後の見通しには不透明感が残りました。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は以下の通りです。 ① 経営成績 当社のmRNA標的低分子創薬事業においては、創薬プラットフォーム ibVISⓇを活用し、東レ株式会社、塩野義製薬株式会社、ラクオリア創薬株式会社、並びに武田薬品工業株式会社との共同創薬研究を進めております。また、さらなる提携先の獲得に向け、mRNA標的低分子創薬に関心を持つ国内外の製薬会社を対象に、当社のプラットフォーム技術紹介等のアプローチを進めました。また当社が保有している特許のうち、創薬プラットフォームibVISⓇをカバーするものについて、欧州域内にて2025年1月1日付で特許権が付与されました。 mRNA標的低分子創薬事業の取り組みと並行して、当社で実行可能な核酸医薬品をはじめ、mRNA標的医薬品の自社パイプラインを創出する取り組みも進めました。 核酸医薬品の開発においては、当社は既にp53遺伝子のmRNAの量を低下させ、疾患の原因となるタンパク質の発現を抑制する核酸医薬品の一種、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を発見し、日本国内で特許を取得するとともに、さらに効率よく活性の高いASOを取得するための独自研究を進めております。また、三菱瓦斯化学株式会社との間では、ASOの研究・開発・製造を目的とした協業の可能性について2023年12月より継続的に検討を進めております。 低分子医薬品の開発においては、2024年10月に英国 Liverpool ChiroChem 社とのmRNAを標的とした低分子創薬に関するパートナーシップ合意、さらに同社とは同年12月に共同開発及び商業化契約を締結いたしました。 また当社は2024年2月8日、東京証券取引所グロース市場へ株式上場いたしました。 これらの結果、当事業年度における経営目標の主要な指標であるKPI達成状況は、新規契約締結数については年間目標2社に対し1社(英国 Liverpool ChiroChem 社)、事業収益は黒字確保の目標に対し、当事業年度内の契約締結を見込んでいた案件の成約が翌事業年度内となったことを主な要因として赤字となりました。…
セグメント関連
抽出本文
/ 原文長 約69文字
【セグメント情報】 当社の事業セグメントは創薬プラットフォーム事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
主要な顧客・販売先
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/ 原文長 約1779文字
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、下表のとおりです。 相手先 第8期 事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日 ) 第9期 事業年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日 ) 販売高 (千円) 割合 (%) 販売高 (千円) 割合 (%) 武田薬品工業㈱ 216,333 60.0 123,691 63.6 ラクオリア創薬㈱ 80,000 22.2 30,000 15.4 塩野義製薬㈱ 30,000 8.3 30,000 15.4 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当事業年度の事業収益は194,643千円(前事業年度は360,356千円:前期比46.0%の減少)となりました。事業収益が減少した要因は、当事業年度内の契約締結を予定していた新規案件の成約が翌事業年度内となったことによるものです。当事業年度の事業費用は407,494千円(前事業年度は322,733千円:前期比26.3%の増加)となりました。これは主として研究活動の進捗に応じた研究開発費の増加35,923千円、各費目の支出増加による販売費及び一般管理費の増加48,837千円によるものです。これらの結果、当事業年度の当期純損失は236,442千円(前事業年度は当期純利益33,048千円)となりました。 なお、財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況 ② 財政状態」に含めて記載しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社における主な資金需要は、人件費にかかる支出及び研究開発にかかる支出です。この資金需要に対しては、原則として自己資金を充当することを基本としております。 なお、当事業年度末において、金融機関等からの借入金はありません。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。…