事業の内容
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/ 原文長 約23576文字
3 【事業の内容】 当社は、どんな疾患の患者様も治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会の実現に貢献するため、メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とする低分子医薬品(以下「mRNA標的低分子医薬品」という)の創出に取り組んでいます。mRNAを標的とする低分子創薬(以下「mRNA標的低分子創薬」という)は、従来のタンパク質を標的とする創薬技術では狙えなかった様々な疾患にも対応可能な新しい創薬アプローチであり、アンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療薬や治療法がなく未だ満たされない医療ニーズ)の充足につながることが期待されます。当社は、mRNA標的低分子創薬でより多くの医薬品を患者様にお届けするため、自社で少数のパイプライン ※7 を保有する「パイプライン型」のビジネスではなく、当社独自の創薬プラットフォーム「ibVIS Ⓡ 」(以下「ibVIS Ⓡ プラットフォーム」という)を活用し、複数の製薬会社と共同で創薬研究を実施する「プラットフォーム型」のビジネスを展開しています。 なお、当社のセグメントは創薬プラットフォーム事業のみの単一セグメントであります。 (1) 事業の背景 疾患の発症のメカニズムは多種多様ですが、主に疾患の原因となるタンパク質(以下「疾患関連タンパク質」という)の異常な働きによって引き起こされ、現在の医薬品市場は、直接疾患関連タンパク質に結合し、その機能を制御することで異常な働きを止める医薬品(低分子医薬品、抗体医薬品 ※8 など)が主流です(図1)。しかし、これらの医薬品が創薬標的として狙うことのできる疾患関連タンパク質の数はもともと限られているため、長年にわたる医薬品の研究開発 ※9 の結果、新薬開発が求められている医療ニーズの高い疾患に対して新たに医薬品を創出することが難しくなっています。このように、創薬標的となる疾患関連タンパク質が限られてきている現状、すなわち「創薬標的の枯渇」が、製薬業界共通の課題となっています。 mRNAは、DNA ※10 から特定のタンパク質に関する遺伝情報を書き写した設計図です。疾患関連タンパク質の設計図であるmRNAの機能を制御することができれば、疾患関連タンパク質の機能を直接医薬品で制御する場合と同様に、その疾患関連タンパク質が原因となる疾患を治療することが可能になり、「創薬標的の枯渇」の解決策につながることが期待されます(図1)。 mRNAを標的とする医薬品は、核酸医薬品(DNAやRNAといった遺伝情報を司る物質「核酸」そのものを利用した医薬品のこと)によって実現されています。しかし、核酸医薬品は経口投与が困難であるだけでなく製造コストが高く、市場の拡大には限界があると考えられます。…
経営方針・経営戦略・対処すべき課題
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/ 原文長 約5258文字
(2) 経営戦略 当社は、mRNA標的低分子医薬品の将来市場の見通しを踏まえ、その時期に応じてビジネスモデルを変えることで長期持続的な成長を達成することを目指しています(図22)。 短期的には、現在の「プラットフォーム戦略」により、現在進行中の共同創薬研究をさらに加速・拡大させて事業収益の獲得等による業績の安定化を図るとともに、より多くの国内外製薬会社とのパートナーシップを展開していく方針です(図22、図23 共同創薬プロジェクト)。2023年6月の武田薬品との提携を皮切りに、大手製薬会社や海外製薬会社をパートナー提携先として獲得し、さらなる事業拡大を目指します。中期的には、当社プラットフォームのさらなる技術開発と専門人材の獲得・社内育成により、現在は製薬会社が担当している創薬研究プロセスも自社で実施する体制を構築する方針です。海外大手製薬会社は、共同創薬研究よりもパイプラインをそのまま導入する取引を重視する傾向があるため、共同創薬プロジェクトを推進するプラットフォーム事業にくわえ、自社でパイプラインを創出するパイプライン事業を並行して進める「ハイブリッド型」のビジネスを展開することを計画しております。これにより、継続的な業績の安定化とパイプラインのライセンス等による企業価値の最大化を目指します(図22、図23 自社プロジェクト)。さらに長期的には、創薬研究に特化したバイオテク企業から、研究開発・販売機能等を備えた製薬会社(スペシャリティファーマ)に業態を転換することで、持続的な事業の成長を目指します(図22)。当社は、こうした短中長期の各成長ステージに合わせて適切な経営を行っていくことを経営戦略としています。 2024年度からの中期経営計画期間は、プラットフォーム事業を遂行する態勢を財政面や人材面でより頑強なものとし、加えて「ハイブリッド型」のビジネスに切り替える準備と実行の時期と位置付けております。 図22. プラットフォーム型ビジネスからスペシャリティファーマに至るまでの成長曲線のイメージ図 (注) あくまで当社が目標とする成長のイメージであり、実際の時価総額の推移を示唆するものではありません。 当社は、プラットフォーム型からハイブリッド型ビジネスへ移行する際には、mRNA標的低分子医薬品又は核酸医薬品のプロジェクトの中から自社パイプライン候補を選定のうえ研究を進め、自社パイプラインの創出につなげる方針です(図23、自社プロジェクト)。mRNA標的低分子創薬の場合には、様々な疾患に適用できるという特性を活かし、マーケット志向にもとづいて医薬品1品目あたり年間200億円以上の売上が見込める自社プロジェクトを選定する方針です。 図23.…
対処すべき課題
抽出本文
/ 原文長 約1000文字
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。 ① 持続的・安定的な事業収益の獲得 当社は、mRNA標的低分子創薬で事業提携している製薬会社のニーズを適宜把握し対応することで、滞りなく共同創薬研究を前進させるとともに、その成果を新規の製薬会社との事業提携につなげることで、持続的・安定的な事業収益の獲得を目指します。 ② 優秀な人材の確保・育成 当社の事業を大きく発展させるためには、RNA研究に関する高い専門性や豊富な創薬研究経験を有する人材、及び事業開発の拡大に資する人材が必要となります。当社は、当社ウェブサイトの充実や人材紹介サービス会社の積極的な活用により、優秀な人材の確保に努めます。さらに、従業員が働きやすく、業務を通じて成長できるような環境を整備することで、当社の将来を担う人材の育成に努めます。 ③ 技術競争力の強化 当社が取り組むmRNA標的低分子創薬の領域は、今後、国内外のバイオテク企業や製薬会社との競争の激化が予想されます。このような状況の中、当社は、製薬会社との共同創薬研究及び自社研究を通じて蓄積した知見を当社のプラットフォーム技術にフィードバックするとともに、大学との共同研究や他社との業務提携等により新技術を積極的に取り込むことで、プラットフォームの機能拡充による技術競争力の強化を図ります。 ④ 事業領域の拡大 当社は、製薬会社との共同創薬研究及び自社研究を通じて、mRNA解析技術を飛躍的に向上させました。mRNA標的低分子創薬にとどまらず、核酸医薬品の創出やmRNA医薬品の設計など、新たな事業領域の拡大の可能性について検討します。 ⑤ 知的財産の保護 当社は、競争力の確保や将来の事業展開のため、当社独自の創薬技術の特許権利化及び自社開発した各種ソフトウェアの秘匿化を進めています。引き続き、専門分野の弁理士・弁護士と連携しながら、新規技術の権利化や新規ソフトウェアの秘匿化に努めます。 ⑥ コーポレート・ガバナンスの強化 当社は、急速に事業を拡大しており、上場後はさらなるコーポレート・ガバナンスの強化が課題となります。当社は、役員による業務執行に係る適正な意思決定を行い、法令や社内規程を遵守し、健全性と透明性の高い経営体制の構築に努めます。
経営成績・財政状態の概況
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/ 原文長 約2390文字
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績 当社は創薬プラットフォーム「ibVIS Ⓡ 」を活用し、製薬会社との共同研究創薬研究を通じてmRNA標的低分子医薬品の創出に取り組むプラットフォーム型ビジネスを展開してまいりました(① mRNA標的低分子創薬事業)。また、当社のmRNA関連創薬の取組みにも進展がありました(② その他のmRNA関連創薬事業)。 ① mRNA標的低分子創薬事業 当社のmRNA標的低分子創薬事業では、東レ株式会社、塩野義製薬株式会社、ラクオリア創薬株式会社(以下「ラクオリア創薬」という)、および武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」という)との共同創薬研究が進行中であり、当事業年度における主な進捗は以下のとおりであります。 当社と武田薬品は、2023年6月に武田薬品が重点疾患領域に定める複数の遺伝性疾患に対して、mRNAを標的とする低分子医薬品の創出を目的とした新規共同創薬研究契約を締結しました。本契約では、創薬研究の初期から上市・販売にいたる全ての経済条件を定めており、本契約の締結に伴い当社が保有するプラットフォーム技術へのアクセスフィーとしての契約一時金にくわえ、研究支援金を武田薬品より取得しました。 当社とラクオリア創薬は、2022年12月より、ラクオリア創薬が定めるがん疾患に対してmRNAを標的とする低分子医薬品の創出を目的とした共同創薬研究を実施しております。2023年12月には、本共同創薬研究において事前に定めた研究マイルストーンを達成したことから、マイルストーン収入をラクオリア創薬より受領しました。 ② その他のmRNA関連創薬事業 核酸医薬品をはじめとしたmRNA関連創薬については、今なお技術開発が必要な分野であり、現時点において幅広い治療ニーズに十分応えられているとはいえません。 当社と三菱瓦斯化学株式会社(以下「三菱瓦斯化学」という)は、2023年12月、核酸医薬品の研究・開発・製造を目指して共同研究契約の締結に向けた検討を開始することに合意いたしました。三菱ガス化学の2024年度から始まる次期中期経営計画「Grow UP 2026」においても“医・食”分野での事業を拡大する方向性が立案されていることから、核酸医薬品に関する共同研究契約の締結に向けた協議を進めてまいります。 以上のことから、当事業年度の事業収益は360,356千円(前年度は178,801千円)、事業費用は研究開発費136,552千円(前年度は148,332千円)を含む322,733千円(前年度は317,711千円)となりました。…
セグメント関連
抽出本文
/ 原文長 約69文字
【セグメント情報】 当社の事業セグメントは創薬プラットフォーム事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
主要な顧客・販売先
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/ 原文長 約1803文字
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先 第7期 事業年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日 ) 第8期 事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日 ) 販売高 (千円) 割合 (%) 販売高 (千円) 割合 (%) 興和㈱ 50,030 28.0 塩野義製薬㈱ 90,000 50.3 30,000 8.3 ラクオリア創薬㈱ 32,500 18.2 80,000 22.2 武田薬品工業㈱ 216,333 60.0 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当事業年度の事業収益は360,356千円(前事業年度は178,801千円)となり前事業年度より181,554千円増加しました。事業収益が増加した原因は主に新規の共同創薬研究契約の締結によるものです。当事業年度の事業費用は322,733千円(前事業年度は317,711千円)となり、5,022千円増加しましたが、これは主に外部委託していた研究を社内で行うなどをしたことにより、当事業年度の研究開発費136,552千円(前事業年度は148,332千円)が11,780千円減少したためであります。このような結果、当事業年度の当期純利益は33,048千円(前事業年度は当期純損失141,381千円)となりました。 なお、財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況 ② 財政状態」に含めて記載しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社における主な資金需要は、研究開発費であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としつつ、必要に応じて、金融機関等からの借り入れによる資金調達にて対応する方針であります。 なお、当事業年度末において、金融機関等からの借入金はありません。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。…